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■ 第118回 健康診断を活かす ■
~がんにならないために②~

医師 小澁 陽司
     
 前号の続きです。今回は、「日本人のためのがん予防法」の内容を列挙して、それ
ぞれの項目につきご説明をいたしましょう。

 ①喫煙:喫煙は多くのがんを発生させる危険因子です。たばこを吸っているご本人
     が禁煙することはもちろん、喫煙をしない人が他の人の吸っているたばこ
     の煙(副流煙を含む)を、出来るだけ吸い込まないようにしなくてはいけ
     ません。禁煙は、「最も確実にがんの発生を予防出来る方法」としても有
     名ですので、喫煙している方は是非ご一考下さい。

 ②飲酒:飲酒もいろいろながんの危険因子として知られています。大量に飲酒はせ
     ず、適度な量を楽しみましょう。1日に飲んでもいいアルコール量の目安
     は23グラムくらいですが、より具体的な量に換算すると、ビールなら大
     瓶1本、日本酒なら1合、ワインならボトル1/3本、ウイスキーやブラン
     デーならダブル1杯、焼酎や泡盛なら2/3合といったところです。また、
     お酒を飲めない方が無理に飲んではいけません。

 ③食事:偏食はせず、全体的にバランスのいい食事を心がけて下さい。特に気を付
     けたいのは、食塩の使いすぎや、塩分を多く含む食品(塩からなどの塩蔵
     食品)の摂りすぎです。これは胃がんの予防につながりますが、具体的に
     は食塩にして男性が1日9グラム未満、女性が1日7.5グラム未満に抑え
     ていただくことを理想としています。そのほか、温度が熱いままの飲み物
     や食べ物は摂らないようにする(食道がんのリスクを減らします)ことや、
     野菜・果物を欠かさないようにすることも推奨されています。

 ④身体活動:日常的に体を動かすことは、がん発症のリスクを低下させます。特に
     大腸がん発症の危険性を低下させることは確実と考えられていますし、閉
     経後の乳がんや子宮体がんの危険性もほぼ確実に低下させると言われてい
     ます。具体的には、1日合計60分の歩行を毎日行うことを基本とし、週
     1回は早歩きやランニングで汗をかく運動を行うべきだとされていますが、
     いきなり始めることが難しい方は、徐々に運動量を増やしていくのもいい
     でしょう。

 ⑤体形:肥満はBMI(肥満度)という数値で判断します。この数値は、皆様のお
     手元にある健診や人間ドックの結果表に記載されている場合が多いので、
     それをご参照いただきたいのですが、男性の適正な値は21~27の間、
     女性は19~25の間にあれば問題ありません。海外の研究結果では、B
     MIが高い時に多くのがんのリスクが上昇すると考えられています。男女
     とも、適正な体重を目指しましょう。

 ⑥感染:B型肝炎およびC型肝炎ウイルスに感染しているにもかかわらず、そのま
     ま放置していると肝がんなどの危険性が上昇します。お住まいの地域の保
     健所や医療機関を受診して、肝炎ウイルスの検査をお受けになることをお
     勧めします。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸がんの原
     因となり、胃の中に感染するヘリコバクター・ピロリ菌が胃がんの原因と
     なることは近年よく知られてきました。いずれも医療機関を受診し、適切
     な対策を取ることが望ましいといえるでしょう。


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