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■ 第39回 健康診断を活かす
~「特定健診」と「特定保健指導」について~ 小澁 陽司 ■
 この4月から、厚生労働省の主導による「特定健康診査(特定健診)」及び「特定保健指導」が、いよいよ全国で開始されました。

 このシステムは、40~74歳の医療保険加入者に対し実施される特定健診の結果。以前このコラムでご説明した「メタボリックシンドローム」の診断基準に該当する人及びその予備軍の人に対して、適切な保健指導(生活習慣の改善指導など)を行うというものです。

 これらの健診と指導を義務付けられた各市町村や各企業の健康保険組合では、まだまだ手探りの状態が続いており、実施する側の医療機関もまた、ようやく少しづつ動き始めたところであるというのが本音でしょう。

 今回、何故こういったシステムが国の主導で新しく導入されたのかといいますと、メタボリックシンドローム及び予備軍の人を減らすことによって、糖尿病などの生活習慣全体の発症者数を抑え込み、国民の健康を守っていくのと同時に、増大する一方の医療費を将来的には減少させていこうという目的があるのです。

 まさに一石二鳥の妙案といえるのでしょうが、実は問題点も色々と存在しています。

 日本医師会の見解によれば、特定健診の実施によって、今後はメタボリックシンドロームばかりが注目されるようになり、がん検診などの極めて重大な疾患への対策が手薄になってしまう可能性が出てきます。

 また、特定健診の結果、外来を受診される方が増え、昨今問題化している医師不足の影響から、ただでさえ混雑している外来が更に大混雑してしまうことも懸念されています。言い換えれば、特定健診を円滑に実施するための基礎固めが、まだまだ全国レベルで遅れているということになるのです。

 今春船出したばかりの特定健診の前には、いくつもの乗り越えるべき障壁が待ち構えているようですが、何よりも皆様の健康を第一に考えて作られたこのシステムを有効にご活用頂けるよう、我々医療関係者はこれからも努力を惜しまぬつもりでおります。  ご自身の未来の健康のため、是非積極的にご利用ください。

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