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■ 第34回 健康診断を活かす
~知っておきたい「健康診断の基礎知識」その28~ 小澁 陽司 ■
 「高血糖」と「低血糖」。糖尿病は、高血糖の状態が続くために起こる病気ですが、糖尿病の治療を受けている方の中には、その正反対の状態である「低血糖」をひき起こしてしまう場合もよく見られます。そこで今回と次回は、糖尿病になると高血糖ばかりではなく、低血糖という怖い状態になり得ることを皆様に理解して頂くために、いつもの採血項目の解説をちょっと離れ、そのそれぞれの病態をご説明いたしましょう。

 まず今回は、高血糖について。なんといっても、これこそが糖尿病の主病態であるわけですが、実は高血糖は日常生活上、ゆっくりと症状が出現していくため、なかなか敏感に自覚症状がとらえられません。そこに、糖尿病が悪化してしまう落とし穴が潜んでいるのです。高血糖が続くと、のどの渇き、易疲労感、多尿、皮膚のかゆみといった症状が認められますが、何れも激烈な症状ではないためつい軽視し、知らぬ間に糖尿病の進行を許す結果になってしまいます。冷静に考えてみると、高血糖とは自分の血管の中を砂糖水の如き血液が常時流れているようなものなのですから、血管や各臓器にいい影響を与えるわけがないと思いませんか?地下組織の秘密活動のように、高血糖はじわりじわりと人体を蝕んでいき、やがて全身の血管や神経をボロボロにしてしまいます。この結果、有名な「糖尿病の三大合併症」が出現してくるのです。

   その三つとは・・・・・。
①糖尿病性神経障害(早めに出現する合併症で、しびれといった感覚障害や疼痛、男性ならインポテンツなどが起こります)
②糖尿病性網膜症(眼底の細い血管が障害され、視力低下からやがて失明に)
③糖尿病性腎症(腎臓の血管が侵され、腎不全から透析が必要になることも)

 この他、動脈硬化が進行したり、糖尿病性昏睡の状態に陥ることなどもあり、糖尿病の本当の怖さはこの合併症にあると言えるのです。





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