■ 第8回 健康診断を活かす ~知っておきたい「健康診断の基礎知識」その5~ 小澁 陽司 ■ |
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「黄疸」。全身が黄色くなってしまう症状だということは、皆様ご存知でしょう。しかし、その原因までご存知ですか?ミカンを食べすぎて体が黄色くなるのとは違って、黄疸は血液中のビリルビン値が上昇すると出現します。検診の結果用紙で皆様が目にする「ビリルビン」と黄疸との関係を、今回は説明します。
ビリルビンは、赤血球の中のヘモグロビンから作られる物質です。赤血球が約120日の寿命を終えて壊れると、その中からヘモグロビンが出て来ます。ヘモグロビンは赤い色素ですが(だから赤血球は赤く見えるのです)、化学変化により黄色い色素に変えられ、ビリルビンと呼ばれるようになります。この時出来たものが、「間接ビリルビン」で、そのあと肝臓へ運ばれて水に溶けやすくなる処理を受け、「直接ビリルビン」になります。直接ビリルビンは、肝臓で生成される「胆汁」という消化液の一成分となり、胃から流れてくる食物が通るタイミングを待って十二指腸へ排出されます。食物はそこで胆汁と混ざり消化され、最終的に便となるわけですが、正常な便が黄色に近いのは、このビリルビンの色素のためなのです。ここまでお話しすると既にお察しの方も多いでしょうが、黄色いビリルビンが血液中に増え、全身の血管にくまなく行き渡ると、体中の皮膚や白眼が黄色く染まり、黄疸と呼ばれる状態になるわけです。
黄疸になる原因はいくつかありますが、まず、肝臓から腸へ排出される筈の胆汁の流れ道が、胆石などが原因で閉塞し、仕方なくビリルビンが血液中に逆流する場合。この時は直接ビリルビンのみ上昇します。次に、赤血球の破壊が亢進し(=溶血)、大量のヘモグロビンが血液中に流れ出てしまう場合。この時は間接ビリルビンのみ上昇します。そして、肝臓そのものに疾患がある場合。肝炎などによる肝細胞の機能低下のため、肝臓が胆汁を作ることが出来ず、間接・直接ビリルビンが共に上昇してしまう状態です(ちなみに、間接および直接ビリルビンを足した総量が、「総ビリルビン」として表記されます。)
最後に先天性のもので、「体質性黄疸」があります。これは、検診受診者の中にも割とお見受けする黄疸ですが、大きな問題はなく、特に心配はいりませんのでご安心を。
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