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■ 第1回 健康診断を活かす 医師 西島 好章 ■
 孫子に曰く「彼を知り己れを知れば、百戦して殆(あや)うからず。(中略)。彼を知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ずあや殆うし」と。

 筆者はこの言葉を「生活習慣病予防」という面に当てはめて、彼(生活習慣病)を知り、己れ(自覚症状、健診データ、自分にあった健康習慣)を知れば、健康への道が開かれると解釈しています。

 ここに、中年期男性(35~64歳)の死亡率が低いA区と高いB区の保健行動を比較した興味深い研究があります。

この論文では、

 ①軽微な症状(疲れがたまってからだがだるい、胃腸の調子が悪い等)への対処行動

 ②医師に診断された疾患への対処行動(通院の継続、食事療法や運動療法の実行、服薬の遵守)について、両区の間の比較が行われています。

 それによると、死亡率の高いB区の住民は低いA区と比較して、「軽微な症状」を経験したとき生活を見直そうとする傾向が弱く、「医師に診断された疾患」に対し、医師の指示どおりに対処しようとする傾向も弱いという結果が出ています。「自分の健康状態」に気づき、「それに対する正しい対処」こそが予防の要なのです。

 健康診断は、これによくあてはまります。軽微な症状とは「検査結果の異常」を、「医師の指導」は健康診断結果に基づく、医師や保健師による指示や保健指導を指します。そんなの、「わかっちゃいるけど、・・・・」と、おっしゃる方も多いでしょう。

そこで、今回始めさせていただくこのシリーズでは、あなたが「わかっている」と思われている内容を整理させていただきます。本当にわかっていたかご確認いただき、あなたの生活を見直すお役に立てればうれしいのですが。。

   
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