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■ 第140回 健康診断を活かす ■
〜増加し続ける大腸がん@〜

医師 小澁 陽司
     

 希有の才能と美貌に恵まれ、長年にわたり世界中の音楽界の表舞台をその演奏で
華やかに彩ったピアニスト・中村紘子さんが、かねてから闘病中だった大腸がんの
ため、ついに逝去されたという報せが真夜中のテレビから突然流れてきたのは、今
年の7月も終わろうとする頃でした。

 クラシック音楽に精通されていない方でも、かつてテレビで頻繁に放送されてい
たカレーのコマーシャルでお馴染みだったそのお顔を、今でも容易に思い出される
ことでしょう。

 また、文筆家としても一流の才能を発揮されていたため、高い評価を得た数々の
エッセイをお読みになられた方も多いはずです。

 実は、現在筆者が代表を務めている一般財団法人・日本がん知識普及協会と
中村紘子さんとの間には、多少のご縁がございました。

 1993年(平成5年)に当財団は設立35周年の記念式典を行ったのですが、
あえてパーティーの形式を取らず、東京・赤坂のコンサートホールにおいて、ピア
ノコンサートを開催させていただくことにいたしました。

 この時、あるご縁からピアノ演奏をお願いしたところ、快くお引き受け下さった
のが中村さんだったのです。

 コンサートの夜、客席から拝見した演奏中の華麗なお姿と、焔立つような迫力で
会場に響き渡っていたピアノの音が、20年以上経った今でも筆者の目と耳から離
れません。

 そんな中村紘子さんを蝕んだ大腸がんが、現在、日本の女性のがん死亡率の1位
であることを皆さまはご存知でしょうか?

 日本の最新のがん統計では、女性のがん死亡率の1位が大腸がん、2位が肺がん、
3位が胃がんとなっており、この結果に誰もが意外な印象を持つかもしれません。

 しかし、男性のがん死亡率においても、今や大腸がんは3位という高い位置にあ
り、さらに男女の大腸がんの死亡者数を合計してみると、すべてのがん死亡者数の
中でなんと2位を占めるに至っています。

 また、大腸がんに罹患する方の数も増加傾向にあり、現在、男性と女性を合計し
た罹患者数の総数がすべてのがんの中でトップとなっているということからも分か
るように、我が国における大腸がんの早期発見・早期治療の重要性が年々高まって
いるのは、もはやまぎれもない事実なのです。

 そこで当コラムでは今回から3回にわたり、近年多くの方々の関心を集めはじめ
た「大腸がん」について、出来るだけ簡単に分かりやすくご説明していくことにい
たしましょう。

 次回は、大腸に関する基礎的な事柄(解剖など)や、大腸がんが発生する理由、
大腸がんの症状につき解説いたします。


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