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■ 第100回 健康診断を活かす ■
〜連載100回を迎えて〜

医師 小澁 陽司
     
 筆者がこの「健康診断を活かす」という連載を前任者から引き継いだのは、
2005年(平成17年)の6月号、連載回でいうと第4回の時からです。
 以来、8年間が経過し、この度ようやく連載が第100回に到達いたしまし
た。
 これもひとえに、ご愛読いただいている皆様のおかげであり、心からの感謝
の念に堪えません。今後、より一層解りやすい医療コラムを目指して執筆して
ゆく所存ですので、これからも温かい目でお見守りくだされば幸甚です。
 
 この8年間、医療を取り巻く状況は様々に変化してきました。国による新し
い医療制度の開始、東日本大震災がもたらした健康への影響、そして私たちの
身近に蔓延するようになった感染症の数々、など。
 本コラムは今回、ひとつの節目として、この間に起こった医療に関わる大き
な出来事を振り返ってみたいと思います。
  
 2005年、筆者が執筆を開始した年の最も大きな話題は、鳥インフルエン
ザウイルスの世界的な流行でした。その後、現在に至るまで世界中で不定期に
流行を繰り返していますが、こういったウイルスが突然変異を起こして人間か
ら人間に感染するようになると、それは「新型インフルエンザ」と呼ばれ、爆
発的な流行を招く可能性が出てきます。実際、我が国で2009年から201
1年まで大流行した新型インフルエンザは、免疫を持っていなかった人々へ瞬
く間に感染していきました。また、昨年から大流行中の風疹や、その他の数多
くの細菌感染症などを含め、我々は今後も長きにわたって、肉眼では見えない
これらの敵と戦い続けなくてはいけないのです。

 さて、病気と戦わなければならない一方で、生活習慣によって起こり得る病
気を未然に防ぐことを目的に、2008年(平成20年)の春から始まったの
が、特定健診および特定保健指導、いわゆる「メタボ健診」です。
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によって動脈硬化が進行し、
その結果、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを引き起こしやすくなる状態をいい
ます。それを予防するために、40歳から74歳までの方に動脈硬化の危険因
子である高血圧、糖尿病、脂質異常症のチェックを行った上で、基準に該当す
る方に対し指導を行うのがメタボ健診なのです。
 メタボ健診が始まって、まだ5年。健診は各医療機関で着々と行われていま
すが、その成果がはっきりするのは、もう少し先のことになりそうです。

 そして最後は、2011年3月11日に起きた「東日本大震災」に触れなく
てはなりません。
 あの大災害で、私たちは今までの常識が通用しない世の中が来たことを痛感
しました。今もって被災地の復興はままならず、放射能の脅威と戦い続けねば
ならないことに変わりはありません。今後、新たに発生する可能性を秘めた大
地震などの恐怖とも、真正面から向き合って生きていかねばならないのです。
 そんな中、どんな過酷な条件下でも、「生命」さえあれば立ち向かっていけ
るということを再認識できたのは、改めて私たちの大きな教訓になりました。
あの日以来、私ども医療関係者は医療の原点に立ち返り、明日への希望を心に
刻みつけつつ、皆様と手を携えて今日を生きていきたいと考えております。
 今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
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