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■ 第97回 健康診断を活かす ■
〜花粉症の治療法〜

医師 小澁 陽司
     
 前回の当コラムでは、春の時期を中心とした花粉症の基礎知識について、
簡単にご説明をいたしました。
 3月下旬現在、春の花粉症の患者さんはまだまだたくさんいらっしゃいます。
 そこで今回は、前回の応用編として、花粉症の治療法全般について解説いた
しましょう。
@内服薬:現在、花粉症をはじめとするアレルギー性疾患の治療薬として頻繁に
 使われているのが、「抗ヒスタミン薬」という種類の薬剤です。
 急速なアレルギー反応であるアナフィラキシー(T型アレルギー)は、アレルギー
の原因となる抗原(花粉症の場合は、当然花粉です)が人体と反応し、 ヒスタミン
などの化学物質が体内に放出されることで血管拡張を起こした結果、 鼻水やくしゃ
みといった諸症状を引き起こします。抗ヒスタミン薬は、この花 粉症の原因となる
ヒスタミンの作用を抑え込むため、最も頻繁に花粉症の治療 薬として用いられてい
るのです。
 抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代があり、現在、私たち臨床医が処方する薬
はほとんどが第二世代です。第二世代の薬剤は、第一世代と比べて眠気や口の渇きな
どの副作用が少ないため、今や外来治療の主流となっていますが、 一方、市販され
ている抗アレルギー作用を持つ薬(総合感冒薬など)の多くは第一世代の成分が使用
されており、かねてより「市販薬は効くけれど眠くなる」といった声もよく聞かれて
いました。
 しかし近年、外来で処方を受けるしか入手方法のなかった第二世代抗ヒスタミン薬
が、市販薬にスイッチして続々と販売されるようになったため、花粉症の 治療が患
者さんの自己裁量で行えるようになってきたのです。これは、医師しか 処方できな
かった第二世代の薬の中で、安全性に優れ、なおかつ効果的であると国によって判断
されたものが、薬局で直接販売されるようになったという画期的 な市販薬で、他の
疾患の同じような立場の治療薬も総称して、「スイッチOTC薬」と呼ばれています。
 こういった市販薬を上手く使う「セルフメディケーション」が、今後の花粉症治療
のひとつの潮流になっていくでしょう。
 しかし、今年のように花粉の飛散量が例年よりも特に多い場合、スイッチOTC薬
や、医師が処方する一種類の内服薬だけでは症状を抑えきれないことがあります。
 このような時、私たちは数種類の薬を組み合わせて処方します。
 たとえば、ロイコトリエン拮抗薬(元々は喘息の治療薬で、鼻詰まりに効果的です)
やTh2活性阻害薬といった、抗ヒスタミン薬とは違った作用でアレルギーを抑え込む
薬を併用しています。
 また、アレルギーを最も強く抑えてくれる薬がステロイドで、花粉症の症状があまり
にも強い時はステロイド薬と抗ヒスタミン薬の合剤もしばしば使用されますが、長期間
の連用で全身的な副作用が起きるケースも多いので、慎重に内服する必要があるといえ
るでしょう。
A外用薬:これは、いわゆる点眼薬や点鼻薬のことを指しています。基本的には、
 内服薬と同じように抗ヒスタミン薬や狭義の抗アレルギー薬が主成分となりますが、
 症状が強い時はやはりステロイド含有の薬もよく用いられます。
Bその他の治療法:減感作療法などが知られていますが、完全な根治療法はまだ
 開発されておらず、現在、今後の研究に期待が寄せられています 
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