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■ 第95回 健康診断を活かす ■
〜インフルエンザの治療薬〜

医師 小澁 陽司
     
 2013年1月中旬現在、ノロウイルスの大流行に続いて、いよいよ今
シーズンのインフルエンザの流行が始まろうとしています。
インフルエンザについては、当コラムでもかつて何回か話題にしてきま
した。しかし、今まであまり詳しく触れていなかったのが、インフルエ
ンザの治療薬、すなわち「抗インフルエンザウイルス薬」についてのお
話です。
振り返りますと、当コラムでインフルエンザについて初めて解説をした
のが、2006年(平成18年)の2月ですから、今回の連載はそれか
らちょうど7年が経過したことになります。
この7年の間に、インフルエンザウイルスの治療薬も種類が増え、様々
な条件下における薬の選択の幅が広がってきました。
そこで今回は、今までさらりとしか触れていなかった抗インフルエンザ
ウイルス薬について、最新の情報をお伝えしたいと思います。

現在、日本国内で使用が認可されている抗インフルエンザウイルス薬は
全部で5種類あり、さらに、治療効果が認められている麻黄湯などの漢
方薬が数種類加わって、薬物療法の根幹を成しています。
この5種類の抗インフルエンザウイルス薬に共通して言えることは、発
症後48時間以内に治療を開始しないと効果的ではない、ということで
す。つまり、インフルエンザをただの風邪と自己解釈し、症状が出たあ
と2〜3日放置してから病院に来て処方を受けても、すでに薬を投与す
る意味はなくなっているということになります。もし、インフルエンザ
と思われる症状が出現された際はその点に注意され、早めの医療機関受
診をお奨めします。
それでは次に、その5種類の薬についてそれぞれご説明いたしましょう。
なお、名称はすべて商品名です。
@タミフル:現在我が国で最も知名度が高い、1日2回ずつ5日間内服
するタイプの薬剤です。以前はインフルエンザ治療の第一選択薬として
他の薬を圧倒していましたが、いまだはっきりとした因果関係が解明さ
れていないものの、10歳代の未成年者への投与で異常行動が起きる可
能性が指摘されており、今は原則的に10歳代の患者さんには処方出来
なくなっています。
Aリレンザ:1日2回ずつ5日間、専用の容器を使って吸入するタイプ
の薬剤です。内服薬と違い、気道に直接吸入するため即効性があります。
最近、使用制限のあるタミフルに代わって頻繁に使用されるようになっ
てきました。
Bイナビル:2010年に新発売された薬剤で、リレンザと同じ吸入す
るタイプのものですが、こちらはリレンザと違い、たった1回吸入する
だけで治療が終了するという特徴があります。簡便ですが、1回の吸入
で5日間効果が持続するので、薬の副作用などが起こった時にそれが治
りにくいという点も指摘されています。
Cラピアクタ:唯一の注射薬で、これも2010年に新発売された薬で
す。1回だけ点滴をして治療終了するため、薬剤が飲めない・吸えない
といった患者さんにも使用できます。しかし、イナビルと同じ理由で、
副作用が改善しにくいといった点が懸念されています。
Dシンメトレル:タミフルのような新しい薬が出現する以前の主力薬剤
でしたが、A型インフルエンザにしか効かないこと、この薬への耐性を
持ったウイルスが増えてしまったことなどから、現在インフルエンザに
はあまり使用されておりません。今やむしろ、パーキンソン病の治療薬
として有名です。
            
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