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■ 第82回 健康診断を活かす ■
〜喫煙関連疾患についてB〜

医師 小澁 陽司
 喫煙関連疾患についてのご説明は、今回が最終回になります。

 Cその他の関連する病気:喫煙が発症に関係しているその他の疾患の
数々を、可能な限りたくさんご説明してまいりましょう。

 まず、神経疾患。これは、脳や脊髄といった中枢神経および末梢神経に
発生する病気のことです(前回、循環器疾患の項でご説明した脳梗塞や脳
出血なども、広義ではこの神経疾患に含まれます)。神経疾患の中で、喫
煙によって発症のリスクが約2倍近く上昇するという明らかな研究結果が
出ている病気に、アルツハイマー型認知症があります。

 実は以前、喫煙によってアルツハイマー型認知症の発症率が減少すると
いう研究成果が発表されたこともありましたが、現在その説は否定されて
いるばかりか、それ以外の認知症である脳血管性認知症などの発症リスク
を高めることすら判明しました。また、長年の喫煙の結果、慢性的な頭痛
の原因となったり、記憶力の低下や物事を判断する能力の低下が起こると
いった報告もあり、喫煙が時間をかけて神経系を蝕んでいくことが解りま
す。

 続いて、産婦人科疾患をご説明いたしましょう。

 能動喫煙(自発的な喫煙)・受動喫煙の別なく、女性にとってたばこの
煙は大敵です。これは男性にも言えることですが、喫煙によって性ホルモ
ンの働きが低下し、結果的に不妊症の原因となるほか、月経不順や月経困
難症の原因になることが知られています。

 また、妊婦さんにおいてさらに深刻な影響が出るのは有名で、流産、早
産、周産期死亡(妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡
を合わせたもの)の危険性の増加や、先天奇形の発生、低出生体重児や乳
幼児突然死症候群の発症リスクの増加など、枚挙に暇がありません。

 その上、喫煙が乳がん及び子宮頸がんの発症リスクを高めることはほぼ
間違いないということが最近はっきりしたため、あらゆる世代の女性にわ
たって喫煙は有害無益であると言うことができるのです。

 そして、意外と知られていない事実かもしれませんが、喫煙は男女問わ
ず「老化」を促進します。

 特に女性にとっては大問題である美容上の変化、例えば皮膚のしわ・し
みの増加や白髪化などが進行してしまいますし、聴力・視力の低下、白内
障の発症、頭部の脱毛なども喫煙に影響されることが知られています。

 さらに、体の内部の老化として重大な問題となるのが、骨粗鬆症の発症
リスクの増加でしょう。これは、喫煙によって女性ホルモンであるエスト
ロゲンの分泌低下が起きたり、たばこの有毒物質が骨の細胞にダイレクト
に悪影響を与えることが原因とされています。そしてそれは、そのまま骨
折に直結していくことになるのです。

 その他、胃・十二指腸潰瘍や慢性胃炎、糖尿病、歯周病、免疫力の低下
などと喫煙との因果関係が知られていますが、ここでそろそろ紙数が尽き
ました。

 これだけお読みいただいてもなお、喫煙される皆様の人生にたばこは必
要なものとなり続けますか?
            
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