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■ 第79回 健康診断を活かす ■
〜たばこ値上げと禁煙外来〜

医師 小澁 陽司
 少し前、厚生労働大臣がたばこの価格を引き上げるべきだという発言

をしたことで物議を醸しましたが、喫煙者の方々はこのニュースに接してど
のようにお感じになりましたか?

 この発言が実現化するか否かは現時点では不明ですが、たばこが値上がり
した結果、一人でも多くの喫煙者の方に禁煙して頂けるのならば、私たち医
療関係者にとってこんなに嬉しいことはありません。

 たばこは明らかに人体を蝕み、健康に害を及ぼすものです。喫煙があらゆ
るがんの危険因子となり、呼吸器(肺)や心臓の血管にダメージを与え、せ
っかくの尊い命を縮めることになるのは間違いありません。

 そして、国がそれを認めているからこそ、数年前から日本でも医療機関に
おいて健康保険を用いた禁煙治療が可能になりました。

 これが「禁煙外来」と呼ばれるものです。

 従来の禁煙治療は、ニコチンを含んだ製剤(ニコチンパッチやニコチンガ
ム)を代替品として使用することによって、徐々にたばこのニコチンを身体
から抜いてゆくという方法が取られていました。

 勿論、その治療法も一定の効果を得られていますが、現在の禁煙外来では
ニコチンを含有していない禁煙補助薬を内服する治療法が活況を呈していま
す。

 この、内服する禁煙補助薬の出現は、きわめて画期的な出来事でした。

 喫煙される方は、ニコチンが体に入ることで脳内に快感物質が分泌され、
それが癖になり喫煙を繰り返します。ところが、この禁煙補助剤を内服する
と、ニコチンの代わりに脳内快感物質を分泌してくれるため、喫煙しなくて
も満足感が得られる上に、喫煙して実際に脳に入ってきたニコチンを「邪魔
者」として扱うことで、たばこそのものを美味しいと感じなくさせる効果が
あるのです。

 つまり、必死で努力したり我慢したりせず、楽々と禁煙できることがこの
禁煙治療の最大の特徴というわけです。

 ただし、薬には必ず副作用の危険性があり、この内服薬にも吐き気や精神
症状といった副作用を持つ可能性が報告されていることは確かです。内服治
療を開始して副作用が出た可能性がある時は、すぐに中止する必要があるで
しょう。

 筆者が禁煙外来を担当する際、受診者の方に必ずお話しする言葉がありま
す。

 それは、「無理は禁物」です。

 たばこ値上げのあるなしにかかわらず、喫煙者の方々は我々医師とともに、
無理せず楽に禁煙してみませんか?
            
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