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■ 第76回 健康診断を活かす ■
〜がんの放射線治療について・その2〜

医師 小澁 陽司
 今回は、がんの放射線治療に用いられる医療機器についてご説明いたし
ましょう。

 前回ご説明した、「外部照射」と「内部照射」の二つの治療方式におい
て使用される機器をそれぞれ解説します。

 現在、外部照射で用いられる放射線は、X線、電子線、そしてγ(ガンマ)
線の三種類が主流になっています。これらの放射線を身体の外側からがん細
胞に照射する方法にはいくつか種類がありますが、今最も多く使われている
のは「定位放射線治療」と呼ばれる方法です。

 この治療法は、がん病巣へ向けて多数の角度から放射線を照射することに
よって、がんの周囲の正常細胞に与えるダメージをより少なくできるという
利点があり、かつての放射線治療における副作用を軽減させることが可能に
なった画期的な方法です。

 使用される機械は、X線や電子線を出して照射するリニアック(直線加速
装置)という装置が主流になっており、そのほかにはリニアックの発展型で
あるサイバーナイフや、γ線を出すガンマナイフといったものがあります。

 ガンマナイフは、脳腫瘍をはじめ脳の動静脈奇形などの治療にも有効であ
ることが以前から有名でしたが、リニアックはそのような頭頸部病変のほか、
体幹部のがん(肺がん、乳がんなど)に対しても効果的であるため、現在は
リニアックを導入する医療機関が増えてきました。

 また、最先端の定位放射線治療には、がん病巣の形状に合わせて照射を行
うIMRT(強度変調放射線治療)やIGRT(画像誘導放射線治療)など
の装置や、陽子線や重粒子線を使用した治療装置も登場しており、今後の進
化が期待されています。

 そして、もう一方の内部照射(密封小線源治療法)は、直接体内に放射線
照射装置を留置して治療を行うという性質上、外部照射で用いるような大規
模な装置は基本的に必要としません。

 密封小線源治療法は、放射性物質が外に漏れないようにしっかりと封入さ
れた小さい装置を使用しますので、いかに体内に留置するとはいえ、がん細
胞を死滅させるのに必要なだけの放射線量しか体内では出ないため、安心し
て治療をお受けになることができるのです。

 この三回のコラムを通じ、現在放射能による様々な汚染が懸念される中、
医療にはどうしても放射性物質が必要だということを皆様にご理解いただけ
たでしょうか。

            
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