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■ 第74回 健康診断を活かす ■
〜放射性物質と医療〜

医師 小澁 陽司
 2011年4月下旬現在、東日本大震災の影響はまだ依然として強く残
っており、原子力発電所の事故に関連したニュースが連日報道され続けて
います。

 原発の事故以来、問題となっているセシウム、ウラン、プルトニウムな
どの元素は「放射性物質」と呼ばれ、自ら放射能を出す物質のことですが、
これらが施設から漏出して制御困難な状態になるのは確かに恐ろしいこと
です。

 しかし、医療の世界において、きちんと管理された状況下で使用される
放射性物質は、疾患の正確な診断や治療のために大変重要な役割を担って
いることもまた事実なのです。

 今回は、現代の医学において必要不可欠な存在ともいえる「放射線医学」
について、基礎知識を少しまとめてみましょう。

 まず基本的なこととして、放射線医学は「診断すること」と「治療する
こと」の二本柱で成り立っています。

 放射性物質を利用して画像診断を行う代表的なものは、レントゲン(X
線)検査です。胸腹部および腕や足の骨などの単純X線検査から、造影剤で
あるバリウムを飲んで行う胃部X線検査まで、今やきわめて身近な検査で
あると言えます。

 また、脳や肺、腹部などをスライス画像で映し出すCTスキャン検査も、
このX線を使用しています。

 そして、放射性物質を用いて行う検査のもうひとつの代表が、ラジオア
イソトープ(放射性同位元素)を使用する核医学検査です。

 これは、きわめて微量のラジオアイソトープという放射性物質を人体内
に投与し、様々な臓器への集積を画像化して、がんなどの診断を行うとい
うものです。最近、がんの全身検索においてその名を知られるようになり
つつあるPET検査やSPECT検査なども、この核医学の中に含まれま
す。

 また、放射性物質を使用しない(つまり、被爆しない)画像検査の代表
としては、MRI検査や超音波検査などがありますが、これらも放射線医
学の範疇に分類されています。

 続いて、放射性物質を使用して行う治療についてご説明しましょう。

 代表的なものとしては、X線をがんなどの悪性腫瘍に局所的に照射して
死滅させる「放射線治療」があります。
その対象となるのはほとんどすべての悪性腫瘍であり、現在、色々な医療
機関で様々に工夫をこらされた治療が行われています。

 また近年は、IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)という、
X線検査やCTスキャンなどを利用しつつ、血管を介して細いカテーテル
などで各臓器を治療する方法も普及し始めており、これからのますますの
成果が期待されています。
            
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