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■ 第73回 健康診断を活かす ■
〜東北関東大震災に寄せて〜

医師 小澁 陽司
 この3月11日、東北地方と関東地方を中心に未曾有の大災害が発生し
ました。

 このたびの災害に遭われて亡くなられた方々に心から哀悼の意を表する
とともに、難を逃れてご無事ではあるも、避難生活や不自由な生活を余儀
なくされている方々について、一日でも早く状況が改善することをお祈り
するばかりです。

 また、医療関係者として、これからも全力を挙げて皆様のご健康をお守
りし、微力ながら復興に向けてどんな助力でもさせて頂く所存です。

 個人的な話にはなりますが、筆者は今回の震災が発生した時、東京の都
心で仕事をしておりました。

 震災当日の夜は、東京の多くの地域で交通機関の麻痺による混乱が生じ
ましたが、その後、世界中から絶賛された皆様の冷静な対応と粛々とした
行動を筆者も目の当たりにし、深い感銘を受けました。

 人間は人間によって支えられ、お互いに手を取り合って困難を乗り越え
ながら生きてゆくという、極めてシンプルながら忘れてしまいがちな根本
原理を、今回再確認された方も多かったでしょう。

 こんな状況の中、被災された方々の身体の健康状態の維持について、多
くのメディアが今必要な対処法や今後の対策を報道し続けています。
まずは、現在の惨憺たる被害状況からどうやってご自分の健康を守るかが
優先されるのは当然ですが、時間が少し経過し、身体の保全や衛生状態の
改善が順調になってくると、次に懸念されるのが「心の健康」についてで
はないでしょうか。

 天災、戦争といった生命の危機に瀕する事象の発生後、それを体験した
方々に起こるストレスによる心の障害、それがPTSD(心的外傷後スト
レス障害)です。

 我が国におけるPTSDは、阪神・淡路大震災のあと一般的に認知され
はじめた病態ですが、世界史的には第一次世界大戦あたりに端を発し、ベ
トナム戦争に従軍したアメリカ兵に多数発症したため、大変有名になりま
した。

 PTSDでは、生命の危機に直面した体験が何度も繰り返しフラッシュ
バックされたり、睡眠中に悪夢を見たり、無力感・恐怖感が絶えず存在す
るといった症状が持続しますが、その状態が3か月以内に改善する場合を
急性、それ以上持続する場合を慢性と定義しています。

 治療法には薬物療法、精神療法がありますが、PTSDからの早い回復
には、周囲の方々の温かい精神的な支えが必要であることは言を俟たない
でしょう。

 こういった危機的状況においては、傷ついた方々にとって人の心の温も
りが何よりの特効薬になってくれると思います。

 我々の国が、皆様の強い団結と優しい心の下、少しでも早く元通りに復
興することを願ってやみません。

 みんなで頑張ってまいりましょう!
            
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