kenkou_bunner.gif
■ 第72回 健康診断を活かす ■
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その62〜

医師 小澁 陽司
 D胃隆起性病変:この所見はその名の通り、胃粘膜の表面が隆起して
いて小山のようになっている状態を示します。

 以前ご説明した「胃ポリープ」も、この隆起性病変に含まれますが、当
コラムでもそうであったように、便宜上ポリープは単独で説明されること
が多いようです。
では、私ども医療関係者が胃バリウム検査の結果、「胃隆起性病変の疑い」
と聞いて、まず最初にこれだけはしっかりと鑑別診断を付けなければなら
ないと思う病名は何でしょうか?

 それは、やはり胃がんなどの腫瘍性病変なのです。

 これを聞いて、またか…と思われる方も多いでしょう。
 今まで当コラムでご紹介してきた所見名であるニッシェやレリーフ集中
は、胃潰瘍(瘢痕)などの良性胃疾患の存在を示すことが大部分とはいえ、
稀に悪性腫瘍が存在する場合もあり、もしそういった所見名が付いた時に
は必ず胃内視鏡検査をお受けくださいとしつこく申し上げてまいりました。

 しかし、今回の胃隆起性病変という所見名は、胃内視鏡検査を受けてみ
ると良性の胃ポリープであることが多いとはいえ、今まで解説した所見名
とは少し違い、胃に悪性や良性の腫瘍性病変が存在している可能性がどう
しても高まってしまうのです。

 胃の悪性腫瘍の代表は、もちろん「胃がん」です。胃がんが見つかれば、
なるべく早いうちに治療を開始しなければならないので、いかに初期のう
ちに発見できるかがカギとなります。

 一方、胃の良性腫瘍として有名なものは「胃粘膜下腫瘍」です。これは
胃の粘膜の下に発生する病変で、巨大化するにつれて胃粘膜を持ち上げ、
やがて隆起性病変となります。ただし、すべてが良性ではなく悪性を呈す
るものもあり、他臓器に転移を起こしたりする場合があるので、これもや
はり早期発見が必要となる疾患です。

 要するに、胃バリウム検査の結果、「胃ポリープの疑い」ではなく「胃
隆起性病変の疑い」という所見名が書いてあったら、絶対に胃内視鏡検査
の実施が必要であるということになります。

 またこれは、「食道隆起性病変の疑い」でも同様のことが言えますので、
どうぞご注意ください。

 E胃陥凹性(かんおうせい)病変:前項の隆起性病変と対をなす
のが、この陥凹性病変です。隆起に対し、こちらは胃粘膜の表面が窪んで
見える病変を意味します。

 胃粘膜が掘られるために窪みができるわけですから、この所見名から考
えられる代表的な疾患は胃潰瘍ということになります。しかし、同時に必
ず疑わなければならないのも、やはり胃がんなのです。

 胃がんは隆起してくるタイプのものばかりではなく、胃粘膜を横に這っ
て進展するため表面は平坦なままに見えるタイプや、潰瘍を作って窪んで
しまうタイプのものなど、様々な所見を呈します。

 すなわち、この「胃陥凹性病変の疑い」という所見名も、胃の悪性腫瘍
を鑑別するため、二次検査として胃内視鏡が必須であるということを深く
ご認識ください。

            
(C)2000 The Soka Chamber of Commerce & Industry. All rights reserved.
E-mail:
sokacci@sokacity.or.jp
バックナンバー