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■ 第69回 健康診断を活かす ■
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その59〜

医師 小澁 陽司
 Bレリーフ集中(ひだ集中):「レリーフ」とは、胃の粘膜のひ
だ(襞)のことを意味します。

 胃が伸び縮みする臓器であることは、このコラムですでに何度か触れま
した。胃の大きさは、食べ物が入っている時と空腹時とでは違うわけです
が、胃の内側の粘膜面に存在するレリーフは、そのような胃の大きさの違
いに対し、伸びたり縮んだりすることによって柔軟に対応します。食べ物
が入ってくる前の胃のレリーフは、ちょうどアコーディオンという楽器の
蛇腹の部分が閉じられた時の状態と同じで、胃の入り口から出口まで縦長
に細く閉じられていますが、食べ物が入ってくるとレリーフは横に伸び始
め、まさしく蛇腹を左右に大きく開いた時と同じような状態になって食べ
物を受け入れてくれるのです。

 そのレリーフを、今度は窓のカーテンに例えてみましょう。カーテンの
ひだは、通常なら上から下まで流れるようにきれいな線を描いていますが、
そのひだの途中のどこかを手でつかんでみると、そこを中心として放射状
に皺(しわ)が寄ってしまいます。その放射状の皺が胃粘膜における「レ
リーフ集中」に相当し、つまり、その中心部に何か胃疾患が存在すること
を示唆しているのです。

 しかし、もし皆様の中で現在、健診の胃バリウム検査でレリーフ集中を
指摘された方がいらっしゃるとしても、むやみやたらに心配されることは
ありません。レリーフ集中があった場合、まず最初に医師が考えることは、
「胃潰瘍が治癒したあとの痕跡ではないか?」ということだからなのです。
実はレリーフ集中の原因となるのは、胃潰瘍が出来て治癒する際、周辺の
粘膜を巻き込んで回復してゆく時に生じる、「粘膜の引きつれ」である場
合が多く、問題のない状態と考えられるケースが大多数となります。

 しかし、これまで数回執筆してきた胃バリウム検査の所見のご説明をお
読みいただいている方ならお解かりのように、胃ポリープがすべて良性で
はないのと同様、レリーフ集中だからといって胃がんなどの悪性疾患の存
在を完全に否定することは出来ません。

 稀にではありますが、レリーフ集中が悪性腫瘍によって起こる場合もあ
るのです。

 いつも同じことを繰り返すようですが、もし健診でレリーフ集中という
所見のご指摘をお受けになった場合には、必ず胃内視鏡検査をお受けにな
ることを忘れないでください。

 我々医療関係者には、99%大丈夫だと思っても、残りの1%がグレー
ゾーンならば、それを追究し解明するという使命があるのですから。
            
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