②胃ポリープ:皆様が「ポリープ」と聞いてまず最初に思い浮かべる
のは、どの臓器に出来るポリープでしょうか?
胃ポリープや大腸ポリープ、胆嚢ポリープ、声帯ポリープ、女性特有のも
のなら子宮のポリープなどが知られていますが、その中でもよく対比され
るのが胃と大腸のポリープだと思われます。
この二つがよく引き合いに出され、比べられる理由の最たるものは、大
腸ポリープは癌化する確率が意外と高く、ある程度の大きさになった時は
切除する必要性が生じてくるのに対し、胃ポリープが癌化する確率は非常
に低く、そのまま一生切除しなくても問題なく過ごせることの方が多い、
という点です。
今回は、この「胃ポリープ」について、詳しくご説明をすることにいた
しましょう。
そもそも胃ポリープとは何かと申しますと、胃の細胞が部分的に増殖し、
胃の内側(内腔)に向かって突出するために出来た隆起のことで、胃壁の
表面を覆っている粘膜上皮から発生したものを特にそう呼んでいます。
自覚症状は通常ほとんどなく、よほど特殊な場所に発生したもの(胃と
食道の繋ぎ目付近など)や極端に大きくなったものでなければ、検査で指
摘されない限り気付かない場合が多いのです。
また、なぜ発生するかという原因についての明確な答えはまだ見付かっ
ていませんが、胃粘膜の萎縮や荒れ(びらん)が発生に関係しているタイ
プのポリープもあると考えられています。
胃ポリープの形状には、ただの粘膜の盛り上がりにしか見えない「無茎
性ポリープ」や、キノコの形のように茎がしっかりとあるタイプの「有茎
性ポリープ」などがありますが、臨床で用いられる分類として、胃ポリー
プは次の3種類に分けられます。
・胃底腺ポリープ…30~40歳代の女性に圧倒的な発生率を誇るのがこ
のタイプのポリープです。多発することが多く、ほとんど癌化しません。
自然に消えることも多いのが特徴です。
・過形成ポリープ…これも癌化することが稀なタイプのポリープですが、
胃の中にいるヘリコバクター・ピロリとの関連性も指摘されているため、
ある程度の定期的な経過観察検査が必要です。
・腺腫性ポリープ…このタイプのポリープのみ、癌化する危険性が高めで
あるため、注意が必要です。萎縮した胃粘膜を持つ高齢男性に多く認め
られ、大きくなると前癌病変とみなされるばかりか、2cm以上の大きさ
のものの約50%が癌化していると言われています。ただし、ほとんど
が内視鏡での切除により治癒し、予後は良好です。
以上のことから、胃ポリープは癌化する確率が低いとはいえ、そのタイ
プに応じた対応が必要であることはご理解頂けたと思います。胃バリウム
検査で初めて胃のポリープを指摘された方は、そのポリープが放置しても
平気なものなのか、それとも経過観察や治療(切除)が必要なものなのか
を見極めるために、必ず胃内視鏡検査をお受けになることをお勧めいたし
ます。
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