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■ 第66回 健康診断を活かす ■
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その56〜

医師 小澁 陽司
 今回から少しの間、話題を「胃バリウム検査」に戻したいと思います。
皆様が健診で胃バリウム検査をお受けになり、後日、結果報告書を手にされ
た時、「上部消化器」の欄になんだかよくわからない所見名が記されており、
その横に「精密検査が必要です」と書いてあったとしましょう。

 この場合の精密検査とは、胃内視鏡検査を受けるということであるのは察
しがつくと思います。しかし、問題なのはその所見名で、「胃体上部後壁レ
リーフ集中」などと書いてあっても、多くの方は(何、これ?)と悩んでし
まわれるでしょう。

 そこで今回からは数回にわたり、胃バリウム検査の所見名についてご説明
をしていきたいと思います。
まず初めに必要なことは、上部消化管の各部分の名称の把握です。
 以前、当コラムで少し触れましたが、上部消化管は、食道、胃、十二指腸
という三つの部分で構成されています。そしてそれぞれの部分は、さらに細
かく名称が付けられています。

 食道は、口に近いところ(上のほう)から頸部・上部・中部・下部・腹部
食道と順に名付けられており、このうち下部食道と腹部食道は横隔膜(胸腔
と腹腔との境界線になっている膜)を境にして分けられます。つまり、下部
食道は胸部にあり、腹部食道は横隔膜に開いた穴である食道裂孔を通り、腹
腔内に存在する胃と接合している部分ということになります。

 続いては胃ですが、胃はかなり細かく名称が分けられている上に、正面か
ら見ると全体の形が三日月のようなカーブを描いていますので、まずは食物
が通過していく左上から右下にかけての順路に沿って、各部分名を記してい
きましょう。

 人間が立っている時、胃の一番上の部分になるのが穹窿部(きゅうりゅう
ぶ)です。その下が噴門部で、食道はこの噴門に接続し、食物はここから胃
内に流れ込んできます。その下が胃体部。ここはさらに、胃体上部・中部・
下部にほぼ三等分されます。その下は胃角部と呼ばれ、ちょうどこの部分で、
左上から右下にかけて下りてきた胃は右上に再び上がっていきます。この、
胃が折れ曲がっている鋭角の部分を、特に胃角と呼びます。胃角部に続いて
右上に上がった部分を前庭部と言い、その先端であり、胃の出口にあたる部
分を幽門部と称します。幽門から先は十二指腸になりますが、胃の部位の名
称分類はそれだけではありません。胃角がある小さくカーブした側の胃の湾
曲を小弯、下側の大きなカーブを大弯と言います。また、胃のお腹側の面を
前壁、背中側の面を後壁と呼んでいます。

 最後は十二指腸の各部分の名称ですが、胃の幽門と接している円形ないし
は円錐形の部屋状の部分を十二指腸球部と呼び、そのあとに十二指腸下行部
が続いています。 

 バリウム検査や内視鏡検査でチェックするのはこのあたりまでになります
ので、名称を把握するのはこれで充分でしょう。
            
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