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■ 第62回 健康診断を活かす ■
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その52〜

医師 小澁 陽司
 いわゆる「胃カメラ」は、正確に言うと上部消化管(食道・胃・十二指腸)の内視鏡検査のことです。

1950年代、日本で最初に開発された現在の上部消化管内視鏡の初期型の先端には、本当に小型のカメラ(写真機)が装着されており、胃の中を写真撮影したあと、そのフィルムを現像し診断していたため、写真機を使わなくなった今でも、内視鏡の俗称はその当時の「胃カメラ」のままなのです。

 とはいえ、現在でも内視鏡の先端には小型のCCDカメラが装着されているタイプのものが多く使用されているので、決して間違った表現ではありません。

 前回ご説明した胃バリウム検査と、今回ご説明している胃内視鏡検査の決定的な違いは、胃内視鏡の場合、胃の内部をリアルタイムで直接観察出来る上に、例えば胃がんなどの病変を疑わせる所見が見付かった時、その部分の組織をつまんで採取し、細胞が良性か悪性なのかを調べる検査にそのまま進むことが出来るという長所がある点です。

 また、内視鏡はカラー映像として見ることが出来ますので、胃炎といった胃粘膜の色が変化する病変の診断にも大変に有用なのです。

 我が国では現在、大人数が受診する健康診断で最初に胃バリウム検査を行い、そこで病変を疑わせる所見が見付かった方に対し、二次検査として胃内視鏡検査を実施するシステムがまだ主流を占めていると思いますが、すでに外来といった臨床の現場で胃バリウム検査がほとんど行われなくなったように、将来的には健康診断においても胃内視鏡検査の占めるウェイトが圧倒的に大きくなると考えられています。

 しかし、受診者数が多い健康診断における内視鏡の短所として挙げられるのは、検査に要する時間がバリウムと比べると長いため、いっぺんに多くの方のスクリーニングが出来ないということや、思ったより検査に費用がかかってしまうといった点です。

 また、胃内視鏡検査の一般的な難点として、最近は鼻から入れる「経鼻内視鏡」が普及しつつあるとはいえ、まだ経口内視鏡が主流である現在、内視鏡を飲むのが苦手な方には不向きな検査であると言わざるを得ません。

 胃バリウム検査と胃内視鏡検査、それぞれの長所と短所をよくご理解頂き、受診者ご自身に合った検査法を選択して頂くことも必要かと思われます。

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