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■ 第61回 健康診断を活かす ■
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その51〜

医師 小澁 陽司
 胃の病変を見つけるための検査法には、いくつかの種類があります。胃がんや胃・十二指腸潰瘍の原因になるヘリコバクター・ピロリ菌の有無をチェックする「尿素呼気テスト」や、将来的に胃がんとなるリスクの高い萎縮性胃炎のチェックを採血で行う「ペプシノーゲン測定」といったような、数値の上で判断する検査法もありますが、現在最もおなじみなのは、やはり画像として目で見ることができる「胃バリウム検査」と「胃内視鏡検査」の二つでしょう。今回と次回は、この二つの検査法のそれぞれの特徴や長所・短所などについて解説いたしましょう。

 今回まずご説明する胃バリウム検査は、造影剤であるバリウムを飲んだ後に胃をレントゲンで写し(胃透視)、病変を発見しようという検査法で、現在の我が国の健康診断では「二重造影法」という方法が主として用いられています。

 この二重造影法は、最初に胃の中を空気で膨らませるため発泡剤を飲んで頂き、そのあと造影剤のバリウムを飲んで頂いてから、胃の内側の壁全体に薄くバリウムを付着させた状態にし(そのため、台の上であっちこっちにごろごろと動いて頂くのです)、レントゲン線を通さないバリウムと、レントゲン線を通す空気のコントラストで浮き彫りになった粘膜の異常などを撮影するという方法です。

 胃の中に一緒に入っているバリウムと空気の両者をともに造影剤の役割として用い、レントゲンで撮影することから名付けられたこの二重造影法は、1953年に日本で開発され、当時の我が国の 早期胃がんの診断率を飛躍的に向上させた独自の画期的な方法でした。

 さて、ここからは胃バリウム検査の長所と短所を述べていきましょう。

 胃バリウム検査の優れているところは、胃内視鏡検査と違って胃全体をレントゲンで撮影するため、胃の形態の異常がよくわかる点です。画像上、どの角度で見ても胃壁の形が変わらない場所があったりすると、そこには胃壁を横に這って進展していくタイプの胃がんが存在している可能性などが示唆されるのです。さらに、健診をお受けになる方々の観点でいいますと、個人差はありますが、バリウム検査は比較的苦痛が少なく、検査に要する時間も短くて済む点などが挙げられるでしょう。

一方、短所といえば、バリウム検査では白黒の画像しか撮れませんので、胃炎などの胃の粘膜面の色の変化が診断に必要な疾患の判断は出来ません。また、バリウムを飲むのが苦手な方は最初から検査の実施が困難ですし、便秘がちな方は検査後に新たなご苦労が待っていることなどが挙げられるのではないでしょうか。

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