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■ 第55回 健康診断を活かす〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その47〜
 医師 小澁 陽司 ■
 今回からは、心電図上に特徴的所見を持つ心疾患で、それぞれ独自の名前が付いている有名なものをいくつかご紹介してまいりましょう。

 まず最初は、「ブルガダ症候群」です。2008年9月、徳島で開催された日本人間ドック学会で講演をされたある循環器専門のドクターが、「最近流行りのブルガダ症候群…」という表現をされていましたが、その通り、このブルガダ症候群は近年にわかに脚光を浴び始めた心疾患です。

 インフルエンザなどの感染症でもないのに、なぜ「流行っている」という表現が使われるのかというと、元々、病態不明のまま長年怖がられてきたある病気の原因のひとつが、最近になってこのブルガダ症候群だったのではないかと考えられるようになり、ブルガダ症候群をきちんと確定診断することによってその病気の発症を予防する精度が高まってきたため、循環器科をはじめ一般内科、健診・ドックでのブルガダ症候群探索網がここ数年間で浸透してきた結果、「ブルガダ症候群疑い」として精密検査をお受けになる方の数が急増してきたことによるのです。

 その、長年原因不明だった病気とは、「ぽっくり病」。いわゆる突然死のことです。勿論、ぽっくり病の原因の総てがブルガダ症候群というわけではありません。しかし、ブルガダ症候群を正しく診断し、適切な治療がなされることにより、それが関与する突然死は回避することができるようになってきたのです。

 それでは、ブルガダ症候群とは何かを、簡単にご説明いたしましょう。ブルガダ症候群の概念が初めて報告されたのは1992年ですから、医学史的には本当につい最近のことになります。心電図上の特徴として有名なのが、心電図の右側胸部誘導と呼ばれる部位においてST上昇という波形と右脚ブロック様の波形が見られることで、これだけですと「ブルガダ型心電図」と呼ばれ、ほとんどの場合予後は良く、あまり問題にはなりません。しかし、このタイプの心電図が出る方で、血のつながりのあるご家族に突然死をされた方がいたり、失神発作を過去に起こされたことがある方は、突然、心室細動が出現して亡くなってしまうことがあり、それをブルガダ症候群と呼ぶのです。発症される方のほとんどが男性なのも特徴のひとつです。

 もし健診やドックで「ブルガダ症候群疑い」という結果が出ても、ほとんどの方は心配ありませんので、闇雲に怖がらず、必ず定期的に精密検査をお受けになり、ご自身の心臓の状態を把握しておきましょう。
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