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■ 第51回 健康診断を活かす
〜新型インフルエンザについて〜 医師 小澁 陽司 ■
 当コラムを執筆している平成21年5月下旬現在、ある微生物のために世界中が大揺れに揺れています。

 そう、「新型インフルエンザ」の発生です。

 この4月、メキシコやアメリカで発生が確認された新型のインフルエンザウイルスは、瞬く間に他国へ拡がりを見せ、5月に入りとうとう日本国内で感染者が確認されたあと、一時の爆発的な増加は落ち着いたものの、その数は今でも少しずつ増え続けています。

 こういった状況の中、新型インフルエンザに対して正しい知識を持ち、適切な行動を取って感染を拡大させないことが、私たち一般市民に課せられた使命であると考えます。この大騒動が今後どういった方向に進んでいくのか予測が付かないながらも、民間レベルで適切に対応して頂くための一助となるよう、今回は急遽、新型インフルエンザ(インフルエンザA)についてのご説明をさせて頂きたいと思います。

 発生当初、豚インフルエンザと呼ばれていた通り、豚同士でしか感染していなかったH1N1型のインフルエンザウイルスが、人にも感染するタイプに変化し、人類の誰もがそのウイルスに対する免疫力をまだ持っていなかったことから、今回の流行は始まりました。

 近年、感染症研究の専門家からは、そろそろ新型インフルエンザの世界的な大流行、いわゆる「パンデミック」が起こるのではないかとの予測が出され続けていましたが、現時点では、WHO(世界保健機関)の発表しているパンデミックの警戒レベルは「フェーズ5」で、まだ完全なパンデミックには至っていないものの、いつその状態(フェーズ6)に突入してもおかしくない状況にあり、今やその予測が現実化しつつあるのです。

 では、どうすれば感染の拡大を防げるのでしょうか。

 インフルエンザウイルスは、感染している人の咳やくしゃみ、鼻水などを介してほかの人に感染していきます。つまり、咳などの中に含まれるウイルスを直接吸い込んだ人や、鼻水が付着している物に触れ、それを口から体内に取り込んでしまう人などが感染する可能性が高いのです。

 この予防には、もちろん入念な手洗いやうがいが最も効果的であるのと同時に、必要時以外に外出をしたり、人混みの中に行くことを避ける判断が必要です。また、咳やくしゃみが出るようになったら、自分自身が感染を拡大する原因にならないよう、マスクを使用するといった配慮も重要です。

 今回のウイルスは幸いにして病原性が弱く、抗インフルエンザ薬が効果的なタイプと考えられていますので、もし流行が身近に迫ってきても慌てないで落ち着いて行動すること、そして、40℃以上の発熱や関節痛、咳・くしゃみ・鼻水といった気になる症状が出た時は、職場のある場所やお住まいの地域ごとに設けられている「発熱相談センター」などに連絡し、迅速な対応を取ることが何よりも重要でしょう。

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