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■ 第50回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識その43〜 医師 小澁 陽司 ■
 (d)心房細動:この不整脈の名前が日本で一躍有名になったのは、元巨人軍監督・長嶋茂雄さんの脳梗塞の原因が心房細動であると報道されて以降のことだと思います。

長嶋さんのほか、総理大臣在任中に脳梗塞で亡くなられた故・小渕恵三さんも心房細動であったと言われていますし、長嶋さんと同じようなケースとなったサッカーの元日本代表監督のオシムさんも、この不整脈が原因だと考えられています。

 今まで何度か解説したように、心臓は、右心房にある洞結節という場所から規則正しく発生する電気によって拍動しています。

 ところが、その洞結節から定期的に出る電気とは別に、心房内のほかの場所で不規則な電気が1分間に約350〜600回も勝手に発生し、心房を細かく振動させてしまう状態になることがあります。これを心房細動と呼び、心房が定期的に収縮できなくなってしまうことを意味します。心房が規則正しく動かなくなるということは、心房から心室へ送られる血液も一定の量が保てなくなり、心臓の機能低下を招くことになります。

 しかし、何よりも心房細動の怖い点は、心房の全体的な動きが悪くなることにより、心房内に血液が停滞し、そこで血の塊である「血栓」が作られやすくなってしまうことです。この血栓が血流に乗り、脳まで流れて脳血管に詰まってしまうと脳塞栓症、すなわち脳梗塞になってしまいます。長嶋さんやオシムさんの脳梗塞の原因が心房細動であるというのは、こういう理由だったのです。従って、心房細動を持病としてお持ちの方は、普段からこの血栓が心房の中に形成されないように留意する必要があります。

 たとえ日常的には症状がなくても、血栓を溶かすための「抗凝固療法」の適応となる方も多いと思われますので、健診などの心電図検査で心房細動のご指摘をお受けになられた方は、必ず医師にご相談ください。

 (e)心房粗動:心房粗動も、細動と同様に心房の細かい振動が発生する不整脈ですが、細動と決定的に違うのは、原因となる電気の発生回数が1分間に250〜350回と少なく、かつ規則的に発生するという点です。

 脳塞栓症の発生頻度は細動よりも少ないとはいえ、やはり抗凝固療法の適応があり、また、心房細動も粗動も高血圧や糖尿病などをお持ちの方に発症するリスクが高いので、日頃からの生活習慣に注意しなければならないというのは言うまでもありません。

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