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■ 第48回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識その41〜 医師 小澁 陽司 ■
 C虚血性心疾患:心臓には、その周囲を取り巻いている「冠動脈」と呼ばれる重要な血管が存在します。冠動脈は大別すると三本の枝に分かれており、その三本がまるで冠のように心臓に被さって、酸素を豊富に含む血液を心臓の各部分の筋肉に供給しているのです。この冠動脈にコレステロールが沈着して動脈硬化を起こし、血管の内腔が狭くなったり詰まってしまったりすると、そこから先の血流が悪くなるのと同時に、その血管が栄養している心筋にまで酸素が行き渡らなくなってしまいます。その結果、酸素が足りなくなった(=虚血した)部分の心筋に痛みが起こり、例外もありますが典型的には「急激な胸痛」という自覚症状になって出現します。これが、皆様にもおなじみの心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患の症状の発現メカニズムなのです(このため、心筋梗塞や狭心症は『冠動脈疾患』とも呼ばれています)。
 それでは、心電図上の所見が重要な意味を持つ虚血性心疾患のそれぞれの病名につき、改めて列記し説明してみましょう。

 @)心筋梗塞:心筋梗塞は、内腔の狭くなった冠動脈が完全に閉塞してしまうため、その血管により栄養されていた部分の心筋が死んでしまい、心臓の動きが悪くなることによって様々な症状が起きる病気です。
胸痛に始まり、重症化すると心不全、不整脈などが続発して生命の危険が高くなるため、心電図や採血などによって迅速かつ的確な診断と治療が必要になります。
 また、糖尿病を合併している方では、心筋梗塞発症時に胸痛のない場合もありますので(無痛性心筋梗塞)、より一層の注意が必要です。

 A)狭心症:狭心症は心筋梗塞と違い、冠動脈が完全に詰まってしまうわけではなく、運動などにより心臓への血液供給量が落ちて一時的に酸素が足りなくなったり(労作性狭心症)、冠動脈が一過性のけいれんを起こして血流が悪くなる(異型狭心症)だけですので、心筋が死ぬことはありません。

 従って、胸痛などの症状は比較的軽いことが多く、安静のみや冠動脈を拡げるニトログリセリンの使用でよく改善するのですが、時には心筋梗塞に移行してしまう「不安定狭心症」という危険なタイプの狭心症が出現することもあり、初めて胸痛が起こった方はもちろん、狭心症の治療中の方でも、胸痛発作が起きた際には必ず専門医への受診が必要でありましょう。
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