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■ 第44回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識その37〜 医師 小澁 陽司 ■
 さて今回は、エコー検査の代名詞とも言える「腹部エコー検査」についてのお話です。

 腹部エコーは「上腹部エコー検査」と「下腹部エコー検査」に大別されますが、まず最初に上腹部エコーで判る疾患を臓器別に列記してみましょう。

 @肝臓:肝臓といえばやはり肝細胞がん、転移性肝腫瘍、肝血管腫(良性腫瘍の代表)といった腫瘤性病変や肝嚢胞(乳腺嚢胞と同じく良性疾患)、肝膿瘍などが挙げられますが、これらのように限局しているものばかりではなく、脂肪肝、肝炎、肝硬変などのように、肝臓全体に変化が現れる疾患に関してもエコーはきわめて有用です。

 A胆嚢および胆道系:肝臓で作られた胆汁を貯めておく役目を持つ胆嚢では、胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢がん、胆嚢炎、胆嚢腺筋症(胆嚢の壁が肥厚する病気)といった疾患が観察できます。また、肝臓と胆嚢を結び、さらに十二指腸にまでつながっている管は胆道系と呼ばれ、そこで観察できる疾患としては胆管がんや総胆管結石などが有名です。

 B腎臓:腎細胞がん、腎血管筋脂肪腫(良性がほとんど)、腎嚢胞、腎結石、腎炎などが判りますが、先天性なものである重複腎盂や、尿管結石などで尿路が詰まってしまうために起きる水腎症なども診断できます。

 C膵臓:膵臓は体の奥深い場所に存在しているため、観察が比較的困難な臓器です。診断できる疾患には、膵がん、インスリノーマ(インスリンを勝手に産生し分泌してしまう腫瘍)、膵炎、膵嚢胞などがあります。

 Dその他:上腹部エコーでは、脾臓疾患(脾腫や脾腫瘍)・副腎疾患(褐色細胞腫や副腎がん)・大動脈瘤・特発性門脈圧亢進症・各部のリンパ節腫脹なども重要な観察対象です。


次は、下腹部エコーです。

 @女性器(子宮・卵巣):子宮のエコー検査では、妊娠中の経時的変化の観察や、経膣的に行うエコーにて子宮頸がん・体がん、子宮筋腫、子宮内膜症といった疾患の状態を把握することができます。また、やはり経膣的エコーで卵巣がんや卵巣嚢腫などの卵巣疾患も観察できます。

 A前立腺:近年、日本人に著増している前立腺がんと、良性疾患の代表である前立腺肥大との鑑別診断に用います。

 Bその他:膀胱腫瘍、腹水、急性虫垂炎などが観察できます。

 今回のコラムで、エコー検査の幅の広さや奥の深さを垣間見ていただくことは出来ましたか…?
 
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