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■ 第42回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識その35〜 医師 小澁 陽司 ■
 1912年(明治45年)4月15日に氷山との衝突事故が原因で沈没した、有名な豪華客船「タイタニック号」。この船の沈没を教訓として、その後ある科学技術が発達を遂げることになります。それは、「超音波の利用法」なんですね。ご存知でしたか?

 タイタニック号の遭難以降、海面より上にわずか全体の10%しか姿を現していない氷山を水中で遠くから見つけ出し、夜の航行を安全に行うことが出来るようにと考え出されたのが氷山探知機で、これは超音波がまっすぐに進んで何かに当たるとまたまっすぐにこちらへ戻ってくる性質を利用した、画期的な発明だったのです。そしてその技術はやがて医学に応用され、今日我々にとっておなじみの「エコー検査(=超音波検査)」として結実します。

 技術の発達と共にエコー検査は甲状腺、乳腺、頚動脈、心臓、上腹部(肝臓、胆嚢、腎臓など)、下腹部(女性器、前立腺など)といった人体の様々な部位を調べることが可能になり、外来のみならず健診や人間ドックにいたるまで幅広く活用されるようになりました。

こ のように、現在エコー検査は極めて重用されていますが、それにはいくつもの理由があるのです。

 まず、簡便に検査が出来るということ。内視鏡やバリウム検査と違い、事前の準備がほとんど要らない上、基本的には寝ているだけで苦痛を伴わない検査であるため、受診者の精神的・肉体的負担が少なくて済みます。

 そして、放射線を使わないということ。もちろん放射線を用いる検査は重要なものばかりですが、例えば妊娠中の女性に対し(胎児に対しても)安心して行える検査の第一選択は、エコー検査をおいて他にはないでしょう。

 その他まだまだ長所は多いのですが、実はエコー検査にも弱点があります。例えば、骨といった硬いものは超音波を通しませんので、脳などの骨に覆われている部位の診断は不可能です。また、超音波診断を行う人の技術や経験によって、「精度」に差が出てくることも否めません。

 ただし、そういった弱点を補って余りあるのもまた、エコー検査の偉大な点なのです。

 

次回は、超音波検査で具体的にどんな疾患が見付かるかについてお話しましょう。

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