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■ 第35回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その29〜 小澁 陽司 ■
 あけましておめでとうございます。

 本コラムの執筆を始めてから、はや3回目のお正月を迎えることになりました。

 今年も皆様にとってより解りやすく、実用的な内容を目指して参りますので、どうぞよろしくお願い申しあげます。

 さて、今回のテーマは「低血糖」について。

 低血糖とは、その名の通り血糖値が低くなってしまう状態を指しますが、高血糖の状態と比べてかなり強烈な症状を呈するため、我々臨床医にとって、一度診察すると忘れない経験になることが多いのです。

 筆者がまだ大学病院で研修医だった時のこと。ある夜、内科の救急外来で当直をしていると、救急隊が意識障害の男性を搬送してきました。その患者さんは糖尿病のためインスリン自己注射をされている方で、ご家族の話では、夜に注射する分のインスリン量を間違えて多く打ち低血糖になってしまったらしく、救急車で我々の外来に到着した時には意識がもうろうとし、冷汗を大量にかき、手足が大きくけいれんしているという、典型的な低血糖症状を呈していました。緊迫した空気の中、筆者の指導医はすぐに血糖値をチェックし、低血糖であることを確認すると、その患者さんに速やかにブドウ糖の静脈注射を開始しました。すると、注射液が入り始めた途端、その方の全身症状が急激に改善し、やがてぱちりと目を開け、「あれ、私は何故こんなところにいるのですか?」と不思議そうにおっしゃったのです!筆者は、この劇的な改善に感激したのと同時に、低血糖症状の激烈さをしっかりと学んだのでした。

 この患者さんのようなケースのほか、低血糖を起こすことになる原因としては、同じく糖尿病の方が経口糖尿病薬をいつもより多めに内服してしまったり、食事時間と薬を内服するタイミングがずれてしまったりすることが挙げられます。

 また、糖尿病ではなくても、肝機能障害の方や膵臓腫瘍(インスリン産生腫瘍)のある方、あるいは胃切除手術後の方などにも起こることがあり、低血糖症は今後、その存在の重要性がもっと人口に膾炙(かいしゃ)されるべき疾患であると言えるのです。







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