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■ 第31回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その25〜 小澁 陽司 ■
 何かが起きた時、その出来事に敏感に反応する人っていますよね。それと反対に、いま何が起こっているのかをじっくりと見極めた上で、ようやく行動を起こす人もいます。会社組織で管理職にある方は、そういった部下の人たちそれぞれの性格的な特徴や個々の能力をきちんと把握し、適材適所に用いることで仕事の効率を高めるのが理想だと思われますが、それは医学の分野でも同じことが言えるのです。

 血液検査の項目の中には、何か病気が起こったときに急速に反応するものがあったり、逆に数週間以上かけて結果が出てくるものもあったりと様々ですが、それらがそれぞれに重要な役割を担いつつ、しっかりと連携しています。今回お話しする「CRP」は、急速に反応して数値が上昇するタイプの血液検査の項目であり、我々医師が臨床の場において急な判断を迫られた時にひとつの指針になってくれる、力強い味方の代表選手です。

 CRPは、「C-Reactive Protein(C反応性蛋白)」の略で、炎症性疾患、感染症、自己免疫性疾患(膠原病など)、悪性腫瘍、心筋梗塞といった疾患の際に高値となりますが、臨床医が外来などの現場でCRPを主に活用するのは、急性の炎症を起こした患者さんを診察するときです。人体内で炎症反応が起こると、このCRPは敏感に反応し、数時間のうちに急速に血中で上昇します。しかも、その上昇の程度は炎症による組織の破壊の強さに比例して高くなりますから、細菌及びウイルス感染症といった急性炎症を疑った時に採血をして数値を見ることで、その患者さんの現在の炎症の程度を把握することができ、早期診断や今後の治療方針を決定する上での大いなる指針となってくれるのです。

 しかしまたその一方で、CRPは前述した疾患の慢性期の経過観察を行う場合にも有用な項目であり、ただ敏感に反応してくれるばかりではない、奥深い味のある「部下」であるとも言えましょう。





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