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■ 第30回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その24〜 小澁 陽司 ■
 血液中には、実に色々なものが流れています。白血球などの血球系はもとより、蛋白質や脂質やミネラルといった多種多彩な成分が、ひしめき合って血管の中を通過していく様子はなかなか想像がつきません。今回は、ちょっと不思議な印象を持ってしまう血液検査の項目をご紹介しましょう。

 それは、「鉄」。もっとも、貧血症状の有る人がレバーを食べて鉄分を補給する、といった話は皆様ご存知でしょうから、鉄が人体内に存在すること自体に不思議な感じは受けません。それでは一体、鉄はどういう形で体内にあると思われますか?血液中では、砂鉄みたいな状態でザラザラと流れているのでしょうか??ね、不思議でしょう?

 それでは、タネ明かしです。実は、血中の鉄は砂鉄などよりもはるかに小さい、原子レベルの状態で存在しています。しかも、単独で存在することが出来ません。必ず、「トランスフェリン」という蛋白質と結合して、血中を移動するのです。この状態の鉄を「血清鉄」と呼びます(ちなみに、それ以外の体内の鉄は『貯蔵鉄』と呼ばれ、肝臓など全身に貯蓄されています)。血清鉄は骨髄まで運ばれると、そこでヘモグロビンを作るための材料となり、更にそこから赤血球が造られることになります。

 以前もご説明しましたが、全身に酸素を運搬する役割を持つ赤血球は、ヘモグロビンが搭載されていないと酸素を運ぶことが出来ません。ということは、そのヘモグロビンを造るためも材料である鉄が体から足りなくなると、赤血球は全身に酸素を供給することが出来なくなるのです。これが、「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる病気であり、貧血の中で最も数が多いものです。

 鉄が足りなくなる原因は、悪性腫瘍が代表的なものですが、最近ではダイエットや偏った食生活のために鉄の摂食不足になっている若い女性も多く見られます。バランスのいい食事を摂るということは、やはり体にとって大切なのです。





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