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■ 第28回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その22〜 小澁 陽司 ■
 前回のナトリウムと対になっていると言ってもいい項目として、「カリウム」があります。

 カリウムもやはりミネラルの1種で、人体に不可欠のものです。しかし、ナトリウムと大きく異なる点は、ナトリウムのほとんどが血液中に存在するのに対し、カリウムのほとんどは体を構成する細胞(主に筋肉細胞)の中に存在しているという点です。このカリウムとナトリウムは、細胞の内側と外側(つまり血液中)において絶妙なバランスを保ちつつ、細胞の機能維持のために活躍し続けているのです。

 カリウムの役割として最も重要なものは、ナトリウムとの共同作業により神経系の情報伝達を行なったり、全身の筋肉を収縮させる作用があるということでしょう。従って、体内のカリウムが少なくなると筋肉の動きがスムーズにいかなくなり、そのため脱力や疲労感が全身に出現することになります。

 また、逆にカリウムが高くなると、軽微なうちは症状がありませんが、高値になるにつれ不整脈が出現する危険性が増大し、最悪の場合には心停止に至るため、緊急的措置を要することがあります。特に、カリウムは主として腎臓から尿中へ排泄されて体内の濃度コントロールが行なわれるため、腎臓に障害のある方はカリウム高値となることが多く、日頃から注意が必要なのです。

 ところで、健診受診者の中には、過去のデータはずっと正常値だったのに、今回の検診で初めて突然カリウムが高値を示しており、「再・精密検査」という判定になっているため、愕然とされる方が時々いらっしゃいます。これは、もちろん本当に病的な状態を反映している場合もあるのですが、大抵は採血をお受けの際、色々な原因で採取した血液中の赤血球が破壊され、「溶血」という現象を引き起こすことに起因しています。

 かつてこのコラムでも何度か触れていますので詳細は避けますが、溶血によって赤血球が破壊されると、その内容物のひとつであるカリウムが血液中に流れ出すため、溶血が起こった血液検体を利用して検査を行なうと、検査結果上ではカリウムが高値になってしますのです。これを「偽性高カリウム血症」と呼び、再度採血を行なうことにより大概正常であることが証明されることになります。これなら、一安心ですね。





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