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■ 第26回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その20〜 小澁 陽司 ■
 今回は、前回ご説明した尿素窒素(BUN)の相棒である「クレアチニン」のお話です。尿素窒素と同様に、血中クレアチニンも腎臓機能の評価に用いられている項目です。この二つは、それぞれ単独でも重要な意味を持ちますが、組み合わせて評価することにより更に実力を発揮します。ややマニアックに例えると、新撰組の近藤勇と土方歳三の関係や、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズの関係に似ていると言えるかもしれません。クレアチニンは、やはり尿素窒素と同じく蛋白質が分解されたあとの残りかすであり、その原材料は筋肉の中に存在しています。このため、筋肉量の多い男性の方が、女性よりもクレアチニンの正常値が高めになります。

 血液の濾過(ろか)装置である腎臓は、体内を循環している血液中の不要物を体外に捨て、いい成分だけを再び体内に戻す役割を持っていますが、この濾過の際、クレアチニンは人体に不要のものとみなされ、ほとんどすべて腎臓の糸球体を通過し尿中に捨てられてしまいます。このクレアチニンの性質が、尿素窒素と同様、腎機能を観察するのに適しているというわけです。腎臓において濾過機能の中心となっているのが、「糸球体」という部位ですが、ここの機能が悪くなり、血液の濾過がうまくいかなくなる時は、クレアチニンも尿中に排泄されなくなるため、血中クレアチニンが高値となります。高値となる代表的な病気としては、糸球体腎炎や腎不全といった腎臓そのものの病気から、うっ血性心不全や脱水・やけど、更には末端肥大症(体の筋肉量が増えてしまうため)などが挙げられます。

 それでは冒頭に記したように、クレアチニンと尿素窒素を組み合わせてみると、一体どんなことがわかるのでしょうか?両者を見較べた時、尿素窒素だけが高値でクレアチニンにあまり変化のない場合は、腎臓以外の場所で障害が起きている可能性が高いことがわかります。また、尿素窒素もクレアチニンも両方高値の時は、腎臓そのものに障害が起きている可能性が高いことがわかるのです。

 病気の診断過程において、その後の方針を立てる際の重要な指針を、この二項目はまず提示してくれるというわけです。

 何においても、頼りになるパートナーの存在は大きいということですね。



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