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■ 第25回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その19〜 小澁 陽司 ■
 私たちの身のまわりには、名前や見た目こそ似ているけれど、中味が全然違うもの、という事柄が案外数多く存在します。医学においても同様のことが言え、例えば以前ご説明した「尿酸値」と、今回ご説明する「尿素窒素」などは、皆様が混同しやすい採血の項目のひとつでしょう。

 血液中の尿素窒素(Blood Urea Nitorogen、略して『BUN』とも呼びます)は、同じく血液中の「クレアチニン」と共に、腎臓機能の評価に用いられる項目です。人間が生存していく上で欠かせないもののひとつ、蛋白質が経口摂取されて分解され、腸管から吸収されると、最終的にはそれらの「カス」として、血液中にアンモニアが産生されます。アンモニアは有毒物質であるため、肝臓に運ばれて無毒化され「尿素」となり、最後には腎臓から尿と共に体外へ捨てられてしまいます。尿がアンモニア臭くなるのは、そのためなのです。

 この尿素は、ほとんどが腎臓から捨てられますが、腎機能が悪い人の場合は、捨てられきれずに体内に残ることになります。この仕組みを利用し、血液中に残っている尿素の量を測定すれば、その人の腎機能障害の程度がわかるというわけです。そして、血液中の尿素の量を調べるには、尿素の中に含まれている窒素の量を測定する方法が取られるため、我々は通常、「血液中の尿素窒素を調べる」という呼び方をするのです。

 尿素窒素が高値を示す時に考えられるのは、@腎不全などの腎障害 A脱水(腎血流量が減るため尿量も減り、尿素が捨てにくくなる) B消化管出血(出血した血液に含まれる蛋白質が腸内で分解されてアンモニアとなり、結果的に尿素が増える) C体の各組織に存在する蛋白質の分解亢進(外科手術、やけど、がんなどのために、体の各部分を作っている蛋白質が分解され、アンモニアが産生される)などの場合ですが、これらを見てみると、尿素窒素が腎疾患の際のみに上昇しているわけではないことがわかります。

 腎障害の指標として尿素窒素を用いるためには、先述したクレアチニンという項目と併せて判断しなければなりません。という訳で、次回はその「相棒」であるクレアチニンについて、ご説明いたしましょう。



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