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■ 第24回 健康診断を活かす
〜知っておきたいノロウイルスの基礎知識〜小澁 陽司 ■
   昨年末、各メディアを賑わせたウィルスと言えば、「ノロウィルス」で決まりでしょう。インフルエンザがまだ流行していない時期に、日本中を一種のパニック状態に陥れたノロウィルスの流行は、皆様にとって寝耳に水の出来事だったと思います。

 しかし、実際のところノロウィルスが原因となる感染性胃腸炎及び食中毒は、昨年に突然発生したものではなく、今までも毎年冬場になると定期的な発生を繰り返していた、いわばメジャーな感染症なのです。今回、初めて爆発的な流行を見せたため、全国的に知名度が上がったという訳です。例年、我が国でのノロウィルス感染者数は11月頃から増加し始め、1月から2月にかけて流行のピークを迎えています。このコラムが載る頃は、まだノロウィルスに感染する可能性が残っている時期ですので、今回は「ノロウィルスの基礎知識」についてご説明いたしましょう。

 ノロウィルスが最初に見付かった場所は、今から約40年前のアメリカです。当初は、他の何種類かのウィルスと一緒に「小型球形ウィルス」と総称されていましたが、研究が進んだ結果、2002年に国際学会でノロウィルスと命名され、初めて独立した呼称となりました。ノロウィルスに感染すると、およそ1〜2日経ったのちに嘔気、嘔吐、下痢といった症状が出現するのは、すでに皆様よくご存知でしょう。このウィルスが人間に感染する経路で最も多いのが、経口感染です。ノロウィルスによる感染性胃腸炎の患者さんの嘔吐物や便に含まれるウィルスが、それを始末した人の口に入ったり、手指を介して他の人の口に入ったりすると感染が成立します。また、ノロウィルスは二枚貝に存在することも多く、生あるいは加熱が不充分なカキなどを食べることにより、食中毒になってしまいます。

 現在、ノロウィルスに効果的な薬剤はありません。従って、嘔吐や下痢に対する輸液や、嘔気に対する吐き気止めなどを使用する「対症療法」が治療の主体になります。また、「下痢止め」の服用は体内にウィルスを留めることになり、かえって逆効果となるため注意が必要です。

 最後になりますが、冬場に流行する感染性胃腸炎の原因は、ノロウィルス以外のウィルスや細菌感染なども多いので、該当する症状が出現した方は、早目に医療機関を受診し、正しい診断を受けることが大切です。





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