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■ 第16回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その11 〜小澁 陽司 ■
 先日受診した会社健診の結果が、あなたのご自宅に郵送されてきました。

 「さて、今年はどうだろう?」

 不安と期待が入り混じった複雑な気持ちで、あなたは目を通していきます。

 「心配していた肝機能は大丈夫だし、その他もあまり悪いところはなさそうだ。よかった!…あれ?この“CK(又はCPK)”という項目が高値だな。こんなこと初めてだ。一体、どういう意味があるんだろう?」  最近は便利な世の中になり、インターネットですぐに答が探せるようになったので、あなたは早速、ネットで“CK”を検索します。

 「えーと、あったあった。…え?『心筋梗塞』や『筋ジストロフィー』の時に高値になる項目だって!?自分はそんなに悪い病気なの??」

――以上のような経緯をたどり、吃驚仰天して私どものところへ二次検査に駆けつける受診者の方が、時々いらっしゃいます。

 確かに、CK(クレアチンキナーゼ:以前はCPK《クレアチンホスホキナーゼ》と呼ばれていました)という酵素は、全身の骨格筋の細胞や心筋の細胞の中に多く含まれるため、それらの細胞が障害される病気である進行性筋ジストロフィーや心筋梗塞の際、血液中に流れ出て高値を示します。そして、これらの病気の診断や経過を追っていくのに、CKが必須の検査項目であることは間違いありません。しかし、逆にCKが高値の方々全員が、心筋梗塞などの重大な病気であるということではないのです。他の諸検査や臨床症状を組み合わせ、総合的に病気を診断するための一材料としてCKを捉えないと、先述のように「CK高値」だけを見て大慌てしてしまうことになるのです。

 さて、CK高値に仰天して来院された方々にじっくりお話をうかがうと、「検査の前日、ジムに行って運動をした」とか、「日曜日に野球をし、翌日検診を受けた」といった方が意外と多いのです。つまり、種を明かせば、運動によって正常な筋細胞が一時的に壊れ、一過性のCK高値の状態になっている時に運悪く採血をした、というのが正解なのです。

 ですから、後日、再度採血をすると、すっかりCKは正常値に戻っていることが多く、これで一件落着というわけです。





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