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■ 第14回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その9〜 小澁 陽司 ■
 インフルエンザの時期も過ぎ、いよいよ春が本番を迎えますと、花粉症に悩まされる方々が増えてくることと思います。

 花粉症については、いずれこのコラムでも分かりやすく解説するつもりですが、今回、ワンポイントだけアドバイスをいたします。花粉症の症状もインフルエンザと同様に、なるべく早期のうちに治療を開始したほうが、より効果的であると考えられています。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった諸症状が出現し始めたとお感じになられたら、あまり我慢はせず、なるべく早めに受診されることをお勧めします。

 さて、今回は久しぶりに検査値についてのお話に戻りましょう。今回、ご説明するのは、「コリンエステラーゼ」という酵素です。

 「縁の下の力持ち」という言葉があります。華々しい活躍をする人々の陰で、裏方に徹してその活躍を支える人たちのことを言うわけですが、このコリンエステラーゼは、まさしくその「裏方」的存在であるといえるでしょう。ASTやALTといった、有名な肝機能検査の項目とは違って、多分皆様にはなじみが薄いとは思いますが、コリンエステラーゼは、肝機能全体を診るための重要な検査項目のひとつなのです。

 コリンエステラーゼは肝臓の肝細胞で作られ、血液中へ分泌されて全身を循環します。しかし、肝機能が悪くなると、コリンエステラーゼは肝細胞できちんと生成されなくなり、血液中での値が低くなってしまいます。この仕組みを利用して、私達は肝機能全体の動向を追っていくことが出来るのです。

 コリンエステラーゼが低値を示す代表的な疾患は、肝硬変、肝がん、慢性肝炎、劇症肝炎といった、肝細胞が障害される疾患が主ですが、重症の感染症や低栄養状態など、全身が消耗する疾患の場合でも低値となります。

 また、逆に高値を示すものとしては、ネフローゼ症候群、脂肪肝、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満などが挙げられます。これらの疾患は、肝細胞での蛋白質の合成を活発にさせる作用があるため、それにつられて肝細胞でのコリンエステラーゼの生成も活発化してしまい、結果的に血中での値が高くなってしまうのです。

 私達の体は、このようないくつもの「縁の下の力持ち」に支えられ、健康な状態を保っているというわけです。

 また、治療としては、現在人間のインフルエンザに対して使用されている抗インフルエンザ薬の早期投与を行いますが、有効な予防法の決定打がない今、今後の私達が行わねばならないことは、一般的なウイルス予防法の徹底、つまり、手洗いやうがいやマスク着用などの習慣をしっかりと身に付け、万が一に備えておくことでしょう。







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