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■ 第13回 健康診断を活かす
 〜インフルエンザの基礎知識A〜 小澁 陽司 ■
 前回に引き続き、インフルエンザのお話を。今回は、何かと話題の「鳥インフルエンザ」について解説してみたいと思います。

 鳥インフルエンザウイルスは、前回ご説明したA型インフルエンザウイルスの一種で、鳥類の間で感染を起こすため、特にそう呼ばれます。しかし近年、鳥から人間への感染が報告されたために、注目されるようになりました。

 現在までに、東南アジア、オランダ、カナダで人間への感染症例が報告されていますが、感染すると重症化して死亡に至ることも多いため、その危険性が広く認知されたのです。1997年の香港での発症例では、全患者18名中6名が死亡しました。主な死因は肺炎で、その他の症状としては、発熱、咳などから脳症、結膜炎、消化器症状、多臓器不全までかなり多彩であることが知られています。もっとも、我が国で鳥インフルエンザに感染した鳥が発見された例は、今までに四例あるものの、幸いにして人間への感染は一例も認められておりません。また、世界的にも、人間から人間へ感染した症例は数例しかなく、それゆえ、まだまだ私達日本人にとって鳥インフルエンザは、「対岸の火事」といった認識なのかもしれません。

 しかし、実は世界中で鳥インフルエンザの存在が懸念されている大きな理由として、今後の「ウイルスの変化」に対する心配があるのです。つまり、A型インフルエンザウイルスは、自分自身でその構造を変化させて生き延びていくのですが、同じように鳥インフルエンザウイルスも生存のために変化していくその過程で、いつしか人間から人間に感染する能力を持つウイルス、すなわち「新型インフルエンザ」に突然変異してしまう可能性を秘めているのです。もし、致死率の高いこのウイルスが人類の間で大流行したら、大きな脅威となるでしょう。

 残念ながら現在のところ、鳥インフルエンザに対するワクチンは、まだ開発されておりません。また、治療としては、現在人間のインフルエンザに対して使用されている抗インフルエンザ薬の早期投与を行いますが、有効な予防法の決定打がない今、今後の私達が行わねばならないことは、一般的なウイルス予防法の徹底、つまり、手洗いやうがいやマスク着用などの習慣をしっかりと身に付け、万が一に備えておくことでしょう。







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