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■ 第10回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その7〜 小澁 陽司 ■
 肝機能を知るための採血項目の中には、「胆道系酵素」と呼ばれるものが含まれます。これは胆管(=胆道)の細胞に存在し、胆管に障害が起きた場合に血液中で上昇する酵素のことで、ALPやγ(ガンマ)‐GTPがその代表です。しかし、なぜ胆道系酵素なのに肝機能の指標になるのかと言えば、肝臓で作られた胆汁が腸に排泄される流れ道が胆管であり、肝臓と胆管は直接つながっているため、肝疾患の際には胆管も障害されやすく、多角的な肝機能障害の診断のために胆道系酵素が必要だからなのです。

 今回ご説明する「ALP《アルカリホスファターゼ》」は、肝障害の評価に用いられることが最も多いのですが、その他にも様々な疾患で上昇するので、それらを次に述べていきましょう。

 元々、ALPは主に肝臓、骨、(女性の)胎盤、小腸などに存在し、そこから血液中に出て来ますが、血中のALP値を測定するとそれぞれ由来する臓器によって、六つの型に分類出来ます。それを利用して、ALP高値の時に何の臓器が障害されているかを診断していくのです。

 まず、ALP1と2の二つの型は共に肝臓に由来していますが、両者には違いがあります。ALP1は胆石や胆管癌などのために肝臓の外で胆管が閉塞し、胆汁が腸に排泄されず血中に逆流する状態(閉塞性黄疸)の時に上昇します。一方のALP2は、肝臓内で胆汁が停滞する病態の時に上昇します。この両者の動きが、肝・胆道系疾患の鑑別の一助となります。

 次にALP3ですが、これは骨に由来しています。癌の骨転移や骨肉腫などの骨の病気で上昇するほか、正常な小児でも骨の新生が活発な時期に上昇します。このため、小児のALP値は大人よりも高値となります。

 ALP4は胎盤由来なので、女性が妊娠すると上昇し、分娩と共に再び正常化します。また、一部の悪性腫瘍でも上昇することがあり、注意が必要です。

 ALP5は小腸に由来していますが、これは面白いことに、血液型がO型とB型の人が脂肪分の多い食事を摂ったあとに上昇します。

 最後のALP6は、肝臓由来のALPと免疫グロブリンのIgGが結合したもので、潰瘍性大腸炎などの時に上昇します。





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