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■ 第9回 健康診断を活かす
〜知っておきたい「健康診断の基礎知識」その6〜 小澁 陽司 ■
 つい先日発表されたことですが、2004年度の人間ドック受診者を対象として調査したところ、全受診者の88%に何らかの所異常が発見されたという結果が出ました。その割合は年々増えており、理由として生活習慣病の急増などのほか、検査技術の精度の上昇により、細小な病変まで発見可能になったことが挙げられています。健診及び人間ドックに携わる私共にすれば誇らしく感じることではありますが、その反面、異常のない方がわずか12%でしかないことを考えると、とても複雑な心境になってしまいます。

 さて、その88%の「異常あり」の方々の中で、最も異常者数が多かった検査項目が「肝機能異常(全体の25%)」だったのですが、今回も前回に続き、主として肝臓を診るための項目である「AST(以前は『GOT』と呼ばれていました)」と「ALT(以前の『GPT』)」についてご説明したいと思います。また、今後も数回にわたって肝機能の項目について解説していく予定です。

 AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)とALT(アラニンアミノ基転移酵素)は、通常、主として肝細胞内に存在している酵素です。ALTは大多数が肝細胞の中にしか存在しないのに対し、ASTは肝臓以外の細胞内にも存在する点が違います。何らかの疾患のために細胞が障害されて壊れると、細胞の内容物が血中に流出するため、血液中でのAST・ALTの値が上昇します。それを測定することによって、肝障害の種類や程度を私達は簡便に知ることが出来るのです。

 例えば、急性肝炎や劇症肝炎などの急性期肝疾患の場合はAST・ALTが共に著明に上昇しますが、ALTの方がASTよりも高値を示します。しかし、慢性肝炎やアルコール性肝障害といった慢性期肝疾患の場合は、全体的に肝機能は落ち着きつつも、急性期と反対にASTの方が高値で経過します。そして、肝硬変が進行した場合や肝癌などの時には、ASTもALTも正常値のまま経過することが多いため、注意が必要となります。

 また、ASTは肝細胞以外にも、心筋や手足の筋肉や赤血球の中に存在するため、心筋梗塞や筋ジストロフィー、溶血などの診断にも有用なのです。





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